星を拾う男たち天藤真推理小説全集(13)

今の東京の物騒なことはどうだ。
看板は落ちてくる。
鉄の梁は落ちてくる。
まかり間違えば人間まで落ちてくる――とお嘆きの御仁は、東大出の拾い屋柳原卯平。
その言葉尻を捉えるように、薄暗がりの高いところから白っぽい大きいものが、ずしん。
朝っぱらから何事ならん、相棒の大島次郎ともども目を凝らしてみれば、拾ったところで一銭にもならない人間の死体じゃありませんか!復讐は未成年でもかめへんで。
人類の基本的権利やからな。
相手はな、丹後隆一いうて川崎にある自動車のボデー工場の社長や。
こいつがあんたのお父さんを轢き殺したんや――海坊主みたいな大男猿丸久信の話を聞いて、内山広美は丹後隆一殺害期成同盟に加わる。
理由は違えど狙いは一つ、連判状をこしらえた四名の同志は大願成就に向けて計画を練り、いよいよ決行の日を迎えた・・・・・・きみは百人の警察官が二か月かかって調べたことを、たった一人で十日のうちにひっくり返さなければならない。
――弁護士事務所に出向した探偵社の社員大神卓は、いきなり難題に直面する。
弁護すべきは、製薬会社の会計課員が殺され三千万円余りが奪われた事件で犯人に擬せられた男。
やたら不利な情況証拠にかてて加えて手不足と資金不足、果ては女難にあえぐ大神卓、粒粒辛苦の記。
高学歴、高収入、おまけに長身。
絵に描いたような三高の彼氏に言い寄られ、めでたく結婚と相成ったわたし。
ところがどっこい、好事魔多しどころが、好事だったかどうかも怪しくなってきた。
我利我利の生姜野郎で、度しがたい悋気の虫、加えて激したときのお下劣なことといったら。
夏の終わり、新規蒔直しを期して赴した山荘での出来事は、カタストロフィを招来することに・・・・・・。
二年三カ月ばかり食らい込んで出所したおれは、保護司の娘に一目惚れ。
真人間になります、と厳粛に誓約して幸運にも高嶺の花を手折ることが叶ったのだ。
しかし、白波稼業へ返り咲く夢断ち難く悶々と過ごす毎日。
そんなおれの肚を読んだわが慧眼の恋女房殿は、なんとなんと「夫婦じゃないの。
死ぬも生きるも一緒よ。
二人で新しい怪盗を作りましょうよ」を宣うた。
さても夫婦善哉。
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